塾業界を知ろう

いろいろなタイプの学習塾があります。

一言で学習塾といっても、それぞれの塾で受け持つ生徒の層は異なります。学習塾の大きな目的として「成績向上・志望校合格」があるのですが、教室にとって様々な特徴があります。

▶対象年代別学習塾種別 ▶塾に求められるもの

対象学年別学習塾種別

幼稚園

ほとんどが「小学受験を目的としております。大手の他にも中小塾もあります。特定の学校の入学に強いなどの特徴を持っており、保護者は入学させたいと考えている学校へ多く合格を出している塾を選びます。小学受験では、学力というよりも、日常で把握できること、日本文化、年中行事などが問われ、例えば「桜の花が咲く時期」「箸の持ち方」などが問われます。体を動かす種類としては、生活用具、遊び場、清掃用具の使い方など実生活での体験を問われます。小学受験情報はなかなか入手できるものではなく、業界経験がないと情報の収集は難しいと思われます。

小学校受験は国立、私立の2種類があります。そのほとんどが首都圏に集中しており、地方にはほとんどありません。首都圏では1年代に約30万人いますが、そのうち受験をするのは12000人ほどと言われております。

小学生

大別すると「中学受験」と「補習」に分かれます。「中学受験に強い塾は大手で占められており、情報量、ノウハウ共に中小塾では太刀打ちできないのが実情です。中小個人塾を経営されている方のほとんどが、かつて大手塾で教鞭をとっていた人です。大手塾は集団レッスン形態の授業をしていますが、中小塾を中心に個別指導形式もあります。私立中学受験ではテレビなどでも話題になりますが、豊富な知識量を問われます。首都圏模試センターの情報によると首都圏での受験者数は約17万人です。最近では「公立中高一貫校」が全国的に増え始め、受験者の人気を集めていますが、狭き門ゆえに倍率が10倍以上あるところもあります。出題傾向は公立中高一貫中、私立中受験では大きく異なり、対策内容も変わってきます。

「補習」は地元の公立中学校に入学するための準備としての位置づけがほとんどのようです。小学校内容の習得、前の学年にさかのぼって指導する、中学内容の先取りを目指す塾など、通う生徒の学力に応じた対策をしているようです。

中学生

大手塾と中小個人塾が混在しています。大手塾と言っても全国的な規模で展開している教室は限られており、同一地域で数十店舗経営している教室が多いです。全国展開しない背景には、地域ごとに異なる高校受験システムがあります。地域に特化したノウハウ蓄積を全教場で行える強みを活かし、豊富な情報量を持つことが大手塾の最大の強みです。公立中学校に通う学生をターゲットにしている塾では、ほぼ「学校の授業の補習」が行われ、学年が上がるにつれてそのまま高校受験指導に移行していきます。

私立中学校に通う生徒をターゲットにしている塾は個別指導塾で、高校受験がないぶん、学校の補習にエネルギーを注いでいます。

指導形態は大手ほど集団レッスンを行います。集団レッスンでの指導は授業スキルが必要で、社員講師を中心ですが、スキルを身に着けたアルバイト講師が授業を行う場合もあります。中小個人塾では、講師指導体制と集客力で、大手に太刀打ちできないため、個別指導中心です。全国展開されている個別指導塾のほとんどがフランチャイズ形式で、本部からのノウハウの提供によりフランチャイズオーナーがアルバイト学生を雇用して教室を運営します。最近では授業スキルのある講師に授業を収録してもらい、生徒に視聴させる、映像授業学習の台頭が目立ちます。

高校生

大手塾と中小個人塾が混在しています。大手塾と言っても全国的な規模で展開している教室は限られており、同一地域で数十店舗経営している教室が多いです。全国展開しない背景には、地域ごとに異なる高校受験システムがあります。地域に特化したノウハウ蓄積を全教場で行える強みを活かし、豊富な情報量を持つことが大手塾の最大の強みです。公立中学校に通う学生をターゲットにしている塾では、ほぼ「学校の授業の補習」が行われ、学年が上がるにつれてそのまま高校受験指導に移行していきます。

大学受験を目的とした「予備校」と、学校の補習中心の個別指導塾に大別されます。

近年大学受験は、推薦入試の台頭により、一般受験者の人数が減ってきています。大手予備校で代表的な代々木ゼミナールが主要都市で撤退を始めたのは記憶に新しいと思います。推薦入試とは、高校の定期テストで評価を出す「評定」を元に、無試験、面接、小論文などで、合否を出す入試制度です。高度な知識を求められる大学受験と異なるのと、現役志向の高まりもあり、推薦入試は人気があります。私立大学の入学枠も、推薦合格者数は5割を超えると言われており、全国展開する予備校が苦戦を強いられるのもうなずけます。

高校生指導の難しさは、指導格差と専門性です。

進学先の高校により、学校での指導レベルに大きな開きがあり、画一的な指導が難しいという課題があります。また、文系理系に分かれ、教科も専門性が高まると、アルバイト講師が集まりにくいという課題が残ります。それを解消するために個別指導塾では、アルバイト講師による指導の他、予備校講師が収録した映像授業を視聴する教室がほとんどで、90%以上の塾で、映像授業が利用されているという調査結果も出ています。

学習塾に求められるもの

塾の先生=「先生の知識が豊富」、「わかりやすい授業」等の教務面を連想しますが、実際はそれだけではありません。塾へ通わせる保護者は、子供の成績の向上、志望校の合格といった、「知識の享受」を目的としています。受験目的の塾、予備校はもちろんのこと、補習塾も行きつく先は受験があります。

どんな塾でも、知識の享受だけではなく、受験指導といった情報と、「今の時期にこれくらいの学力があれば、過去の塾生は合格していたので、この子も合格できるだろう」といった経験の蓄積が必要です。

有名受験校の対策指導ほど、授業を行う講師も「どうやって理解させるか」「どうやって点数につなげていくか」を考えて指導していきます。テレビで活躍するカリスマ予備校講師などはこの類ですので、教務スキルが重要になります。カリスマ予備校講師は、2時間の授業に対して1週間授業内容を精査し、声の抑揚、フレーズ、サプライズ等をすべて考えて、2時間の中でそれを表現すると言われています。これは授業を専任で行えるからこそできる方法です。

しかし、授業専任で生計を立てられる講師はほんの一握りで、教務知識とは別のノウハウが必要です。異業種、塾業界未経験で参入しても成功するのは、この別のノウハウが優れているからだと言われています。

授業を受ける生徒の資質に関係します。補習塾に代表される学習習慣のない生徒は、親に強制され嫌々塾にくる、宿題を出してもやってこないといったモチベーションの低い子が多いです。補習塾に求められるのは、教務面よりもむしろ、高いモチベーションをもっていない生徒に、どのようにして学習時間を確保させるか、というノウハウです。例えば前職管理職に就いていた人が、部下のモチベーションを高めていたという経験を活かして塾業界に参入し、人件費がかからない映像学習を利用して、宿題を出さず、塾での学習時間を増やすという塾が増えてきています。

また保護者の中には、塾内での子供の様子を知りたがる人は多いです。どんな学習をして、取り組みがどうだったのか。保護者に対しての情報の開示は、安心感を与えます。

優先順位は様々あり保護者のタイプによって分かれます。

「安心感」>「学習時間の確保」>「教務力>「受験情報」であったり
「教務力」>「学習時間の確保」>「受験情報」>「安心感」なども見られます。